社長のこだわり


私のお菓子作りに対する考え方というのもは
本格指向ですがグルメ指向ではございません。
昨今のグルメ文化に見受けられる…
一生に一度食べられるかどうか分からないようなものを、
私は作りたいとは思わないのです。
当たり前のように手に入る食材で、
当たり前のように食することが出来るものを作る…
それが私の中での一つのこだわりと言えるかもしれません。

そんな当たり前のように口に出来るお菓子にも、
私は「
おいしさ」に対して妥協をしようとは思いません。
そのために、
食材の持つ魅力の全てを活かしきるように心がけております。
生産性にこだわらず当たり前に作業して、
その結果出来てくる
当たり前のものが大切だと考えております。
加工度の高い食材は使わずに
洋菓子でも和菓子でも
昔から普通の
生活に溶け込んだ材料を
出来るだけ使うようにしております。

当たり前」というのが
私の
こだわりなのかもしれません。

船橋屋製菓(株)
代表取締役
羽根田 万通





和菓子へのこだわり

当店で使用しているあんこ
全て自社工場で
豆から炊き上げております。
和菓子は
あんこが基本だと考えておりますので
その基本の部分を誰かに委ねる事をしたくなかったのです。
また、最初の過程から小豆に関わる事で
製品への
自信、そして愛情を持ちながら良い和菓子というものを
作っていけると考えております。

小豆にも種類があり、それぞれに異なった特徴を持っております。
最高級と言われる
丹波産は香りが高く、
北の恵みの中で育った北海道産は風味が淡く、
そして地元農家の方の愛情で育てられた地元産は味濃くと、
それぞれに持つ魅力を
活かし切る事で
より味わい深い和菓子を生み出すことが出来ると考えております。

こだわりの一つとして、
当店の白いこしあんは豆の皮を剥いてからあんに炊き上げております。
口溶けが非常になめらかになり、
そしてまた、
上生菓子に使用した時に落ち着きのある色栄えにを表現出来るからです。

店頭には常に
12種類以上の季節を彩った上生菓子をご用意しております。
特に練り切りには
お客様を楽しませるよう工夫を凝らしております。


平成十一年、十月に
天皇皇后両陛下が相馬においでになられました。
その折につくねいもつなぎで創作した上生菓子
「波に浮かぶ水鳥」を
お召し上がりいただきました。
皇后陛下からお褒めの言葉を頂き、
大切な思い出となっております。



洋菓子へのこだわり

パティシェを目指す若者が多くなりました。
大変喜ばしいことだと思います。
次世代を担う新しい感性が
スィーツを作る現場には必要だと思います。
古いものを守りつつ
そこに新たな感覚を取り入れて
生まれてくる作品をまた次の世代に繋いで行く…
口で言うのは簡単ですが
難しいことです。
実際の現場は
もちろん夢だけが溢れているわけではございません。
シビアな現実を目の当たりにして
夢半ばにして道を外れて行くパティシェの卵達も少なくはありません。
私たちの仕事は
スィーツという作品を作るだけではないと思います。
次の世代へ伝えることも仕事の一つだと考えます。

なるべく良い材料を使うのはもちろんのこと、
洋菓子へのこだわりと言えるかどうかはわかりませんが
作るときに心がけていることはございます。

食べておいしい。
食べてまた食べたくなる。
しあわせになる。

それに尽きます。